
令和6年度の介護報酬改定で利用しやすくなった科学的介護情報システム「LIFE」。データを提出することで加算を取得できるだけでなく、利用者のケアの質を向上させるための貴重なフィードバックも得られます。
とはいえ、「何から始めればいいかわからない」「入力や提出が難しそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、LIFEのデータ提出をこれから始める事業所の皆さまに向けて、準備すべきことや提出までの具体的な流れ、効率的に進めるためのコツをご紹介します。初めてでも安心してスタートできるようサポートしますので、ぜひご一読ください!
全体の流れ
① 事前準備
② 新規利用の手続きをする(LIFE の利用申請)
③ 初期設定をする(パソコンの設定、事業所・職員・利用者等に関する情報登録)
・介護サービスを提供し、様式情報(ケアの計画、評価・実績等)を記録する
・様式情報をLIFEに入力・提出する
・フィードバックを参照し、よりよいサービス提供へ活用する
介護サービスの提供と様式情報の記録
「様式情報」とは、介護施設やサービス提供事業者が、利用者のケアの質を向上させるために必要なデータを入力・提出する際に用いられる標準的なフォーマットや項目のことを指します。2024年度(令和6年度)様式には下記のものがあります。
介護サービスを提供し、利用者ごとに必要な項目を、各加算ごとに定められたスケジュールに沿って記録します。記録は介護ソフトウェアや紙の記録様式を用いて行います。
LIFE画面に表示される名称とLIFEへのデータ提出を必要とする加算の対応表
画面に表示される名称 | 加算名称 | 対応する様式 | |
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科学的介護推進 | 科学的介護推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 科学的介護推進に関する評価(施設) | |
科学的介護推進体制加算 | 科学的介護推進に関する評価(通所・居宅) | ||
リハビリ計画 | |||
リハビリ計画 | リハビリテーションマネジメント加算 リハビリテーションマネジメント計画書情報加算 理学療法、作業療法及び言語聴覚療法に係る加算 短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) 介護予防通所・訪問リハビリテーションの12 月減算免除に係る要件 | 別紙様式2:リハビリテーション計画書 | |
個別機能訓練 | |||
生活機能チェック | 個別機能訓練加算(Ⅱ) | 別紙様式2:生活機能チェックシート | |
個別機能訓練計画 | 別紙様式3:個別機能訓練計画書 | ||
興味関心チェック | リハビリテーションマネジメント加算 リハビリテーションマネジメント計画書情報加算 理学療法、作業療法及び言語聴覚療法に係る加算 短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) 介護予防通所・訪問リハビリテーションの12 月減算免除に係る要件 個別機能訓練加算(Ⅱ) | 別紙様式1:興味・関心チェックシート | |
栄養 | |||
栄養・摂食嚥下 | 栄養マネジメント強化加算 栄養アセスメント加算 | 栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング(施設) | |
栄養ケア・経口移行・経口維持計画書(施設) | |||
栄養ケア計画等 | 栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング(通所・居宅) | ||
栄養ケア計画書 (通所・居宅) | |||
口腔 | |||
口腔衛生管理 | 口腔衛生管理加算 | 口腔衛生管理加算 様式(実施計画) | |
口腔機能向上 | 口腔機能向上加算 | 口腔機能向上サービスに関する計画書(様式例) | |
排せつ支援 | 排せつ支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ) | 排せつの状態に関するスクリーニング・支援計画書 | |
褥瘡マネジメント・対策 | 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)(Ⅱ) 褥瘡対策管理指導(Ⅱ) | 褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書 褥瘡対策に関する診療計画書 | |
自立支援促進 | 自立支援促進加算 | 自立支援促進に関する評価・支援計画書 | |
ICF ステージング(14 項目) | |||
薬剤調整・管理 | かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ) 薬剤管理指導の注2 | 薬剤変更等に係る情報提供書 | |
ADL 維持等 | ADL 維持等加算 | 特定の様式はなし ※施設・事業所は、利用者のADLデータをLIFE へ提出。LIFEでは、提出されたデータをもとにADL 利得を算出する機能を使用できます。 | |
その他 | その他 | その他情報 |
様式情報(ケアの計画、評価・実績等)の入力・提出
日々の業務で記録した様式情報の各項目をLIFE に入力し、登録します。データの登録と同時に厚生労働省へデータが提出されます。
LIFEへのデータ提出方法
LIFEへのデータ提出方法には、以下の2種類があります。
介護ソフトウェアからデータを取り込む
LIFE対応の介護記録ソフトから出力したCSVファイルをLIFEに取り込む
LIFEの画面からデータ入力
紙の記録やLIFE未対応の介護ソフトを利用している場合、LIFEの画面からデータを入力する
LIFEへ提出を行う項目・スケジュール
LIFEでは、加算ごとにデータ提出項目(様式)や提出スケジュールが定められています。
詳しくは「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き(本編)」にまとめられています。
ここでは通所・居宅系サービス事業所が「科学的介護推進体制加算」のデータ提出を行う場合を例に詳しく見てみましょう。
科学的介護推進体制加算の様式情報
以下の加算様式(イメージ)の赤枠がLIFEへのデータ提出を必須とする項目です。
科学的介護推進体制加算のLIFEへの提出スケジュール

・利用者ごとにア~エに定める月の翌月10 日までにデータを提出します。
ア 加算算定開始月
イ 加算算定開始翌月以降、新規のサービス利用開始月
ウ ア・イの月のほか、少なくとも3か月ごと
エ サービスの利用終了月
・事業所又は施設の全ての利用者等について定められた情報を提出します。
データ提出すべき月に 提出ができない場合、届出を提出する必要があったり、利用者加算の算定ができない期間が発生しますので注意が必要です。やむを得ない理由の場合はその限りではありませんので、併せてご確認ください。
フィードバックの参照と活用
LIFEでは、施設や事業所で記録された利用者の状態やケアの内容を基に、全国規模で収集・蓄積されたデータからフィードバックを提供します。これにより、自事業所の取り組みの評価やケアの改善に役立てることができます。
LIFEへデータ提出をしている事業所は、LIFEシステム上でフィードバックを閲覧することができます。LIFE から提供されるフィードバックには以下の2 種類があります。
① 事業所フィードバック
事業所フィードバックでは、自施設・事業所の利用者の状態の変化や、全国の同じサービスの介護施設・事業所における相対的な位置について、図やグラフで示されます。
② 利用者フィードバック
利用者フィードバックでは、各利用者について、状態の変化が表示されます。
PDCAサイクルとフィードバック活用のプロセス
LIFEから提供されるフィードバックを活用することで、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を実践し、ケアの質向上を図ることができます。職員間でフィードバックを共有し、多面的な視点で利用者やサービスを振り返ることが、よりよいケアに繋がります。

参考資料のご案内
この記事は以下の資料を元に作成しました。詳細な操作手順や設定方法は、各資料をご確認ください。
LIFE(科学的介護情報システム)のホームページ>操作マニュアル・よくあるご質問等>「業務の場面ごとにお読みください」>様式情報の登録等の操作方法を知りたいとき「操作説明書(様式情報入力編)[PDF]」
LIFE(科学的介護情報システム)のホームページ>操作マニュアル・よくあるご質問等>「業務の場面ごとにお読みください」>フィードバックの活用について「操作説明書(フィードバック参照編・令和6年度版)[PDF]」
LIFE(科学的介護情報システム)のホームページ>操作マニュアル・よくあるご質問等>「LIFEの利活用方法の手引き」>LIFEに登録する項目の評価方法や内容、フィードバックの活用方法を知りたいとき「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き(本編)[PDF]」
参照元の操作マニュアルは更新されることがあります。最新版をご確認ください。
LIFEデータ提出に便利な介護記録アプリ
ここまで記事をお読みいただきありがとうございます。
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