介護記録ソフトを導入しているととれる加算があるって聞いたんだけど、そうなの?

令和6年度の介護報酬改定で新設された「生産性向上推進体制加算」のことだと思うよ。ただ導入すれば算定できるってものではなくて、「継続的な生産性向上の取組を評価する」加算だそうだよ。

ソフトを購入して終わり、ではなく、ソフトを活用して業務効率化の取組をし続けることがポイントなんだね。

生産性向上推進体制加算についての詳しいことは厚生労働省のホームページの「介護サービス事業者の皆様へのお知らせ」に資料がまとめられているから、そちらも是非見てみて。

なるほど。たくさんの資料が置いてあるね・・・
とりあえず概要が知りたいんだけど、どれから見ればいいかな?

参考資料の「生産性向上推進体制加算について(説明資料)」が16ページで、具体的な算定要件の内容も把握できてわかりやすく感じたよ。この資料の内容を簡単なメモにまとめたから共有するね。

ちなみに、介護記録ソフトは加算算定の際に導入が必要な「見守り機器等のテクノロジー」のうちの一つで、「介護記録作成の効率化に資するICT機器」と表現されていたよ。

介護ロボットやICTの導入支援事業が「介護テクノロジー導入支援事業」に改称になったのと連動している感じがするね。補助金の受付状況は「【令和6年度(2024年度)】都道府県別 介護ICT導入支援事業補助金の受付状況」を見るといいよ。

介護記録を効率化できるソフトをお探しの方はこちらをご覧ください「タブレットで入力した内容が、転記作業なしに印刷でき、事務作業時間が削減できる 介護記録アプリ」

生産性向上推進体制加算新設の背景

令和6年度介護報酬改定の基本的な視点の一つである「良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり」の一環。介護人材不足の中で、更なる介護サービスの質の向上を図るため、処遇改善や生産性向上による職場環境の改善に向けた先進的な取組を推進する。

生産性向上推進体制加算には(Ⅰ)と(Ⅱ)がある

算定項目単位数
生産性向上推進体制加算(Ⅰ)100単位/月
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)10単位/月

生産性向上推進体制加算(Ⅱ)の算定要件

  • 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、生産性向上ガイドラインに基づいた改善活動を継続的に行っていること(加算(Ⅰ)(Ⅱ)共通要件)
  • 1年に一度、業務改善の取組の実績を示すデータの提供を行うこと(成果の要件はなし)
  • 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入していること

生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の算定要件

生産性向上推進体制加算の算定要件にある「見守り機器等のテクノロジー」にはどんなものがある?

1. 見守り機器

利用者がベッドから離れようとしている状態又は離れたことを感知できるセンサーであり、当該センサーから得られた情報を外部通信機能により職員に通報できる利用者の見守りに資する機器。

(※)加算(Ⅰ)の場合、すべての居室への導入(注)が必要。加算(Ⅱ)の場合は、1つの居室への導入でも算定可能。
(注)利用者又は家族の意向に応じ、機器の使用を停止する運用は可能。

2. 職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(インカム等)

インカム(マイクロホンが取り付けられたイヤホンをいう。)やビジネス用のチャットツールの活用による職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器
(※)加算(Ⅰ)及び加算(Ⅱ)ともに、同一の時間帯に勤務する全ての介護職員の使用が必要。

3. 介護記録作成の効率化に資するICT機器

介護記録ソフトウェア等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器(複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る。)

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生産性向上推進体制加算の算定要件にでてくる用語解説

生産性向上推進体制加算の算定要件にある「委員会」とは?

生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定要件にある委員会とは、令和6年度の介護報酬改定で、短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービス、施設系サービスの介護事業所に設置を義務付けられた「介護現場における生産性の向上に資する取組の促進を図る観点から、現場における課題を抽出及び分析した上で、事業所の状況に応じて、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会」のことである。

3年間の経過措置が設定されているが、加算を取得する場合は経過措置期間であっても設置が必要。また、3か月に1回以上委員会を開催し、実施状況の確認と必要な見直しの検討 を行う必要がある。

委員会で検討が必要な4つの項目
1. 利用者の安全及びケアの質の確保
2. 従業者の負担の軽減及び勤務状況への配慮
3. 介護機器の定期的な点検
4. 職員に対する研修

この生産性向上のための委員会のポイント・事例集が厚生労働省 介護サービス事業者の皆様へのお知らせページ内にも公開されている ➡「利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会のポイント・事例集

「生産性向上ガイドライン」とは?

介護サービス事業所が生産性向上の取組を進めるにあたっての参考資料として、厚生労働省が、サービス類型ごとに、「生産性向上ガイドライン」を作成し、PDFファイル等で公開している。

介護分野の生産性向上 ~お知らせ~|厚生労働省

上記Webページには、ガイドラインだけでなく、生産性向上セミナーの開催情報や、介護サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引きなどもまとめられている。

1年に一度提出する、業務改善の取組の実績を示すデータとは?

事業年度毎に1回、生産性向上の取組に関する実績について厚生労働省への報告が必要。報告書は様式が定められていて、オンラインで提出する。令和6年度の取組に関する実績データは令和7年3月 31 日までに提出をする必要がある。

報告内容

・加算(Ⅰ)は、1から5の項目を報告する
・加算(Ⅱ)は、1から3の項目を報告する

1. 利用者の満足度等の評価
2. 業務時間及び超過勤務時間の調査
3. 年次有給休暇の取得状況の調査
4. 介護職員の心理的負担等の評価
5. 業務時間(直接介護、間接業務、休憩等)の調査

報告書の様式は「「生産性向上推進体制加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例等の提示について」及び「「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」等における生産性向上に先進的に取り組む特定施設等に係る人員配置基準の留意点について」の改正について」(令和6年3月 29 日老高発 0329 第 1 号厚生労働省老健局高齢者支援課長)​を参照。

申請先

「電子申請・届出システム」(厚生労働省ホームページ)https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/shinsei/report/

詳細は「介護保険最新情報Vol.1315(令和6年9月30日)生産性向上推進体制加算を算定する事業所における生産性向上の取組に関する実績データの厚生労働省への報告について[WAMNETのホームページが開きます]」を参照。

生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の算定要件にある、業務改善の取組による「成果」の確認とは?

加算(Ⅰ)の算定開始に当たっては、加算(Ⅱ)で求める介護機器の導入後、生産性向上の取組を3か月以上継続 した上で、生産性向上の取組の成果として、加算(Ⅱ)の要件となる介護機器の活用の前後を比較することにより、業務の効率化及びケアの質の確保並びに職員の負担軽減が行われたことを確認し、届け出る必要がある。

生産性向上推進体制加算の新設以前から加算(Ⅰ)の要件を満たすような生産性向上の取組を進めている介護サービス事業所の場合

事業所において生産性向上の取組を開始した際のデータを有している場合については、当該データと現在の状況を比較するなどにより成果を確認する。

事業所開設時にテクノロジーを導入していて、事前データの取得ができない場合の成果の確認については、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.5)(令和6年4月30日)」の問12を参照。

生産性向上推進体制加算の新設等を契機に加算(Ⅰ)の要件を満たすような生産性向上の取組を進めている介護サービス事業所の場合

加算(Ⅱ)の要件となる介護機器の導入後、生産性向上の取組を3月以上継続した上で、当該介護機器の導入前後を比較することにより成果を確認する

介護記録作成の効率化に資するICT機器をお探しの方へ

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。令和6年度の介護報酬改定では、介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入による業務改善を評価する「生産性向上推進体制加算」が新設されました。

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