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少子高齢社会における核家族化、共働き世代の増加に伴い高齢者介護の需要が右肩上がりとなっています。全国各地で、介護保険制度下に認可された介護事業所が新設され、今後さらに拡充されることが期待されています。その一方で、経営面での脆弱性または後継者不足の問題、3年に1度行われる介護報酬改正 で減収を強いられる事業主も少なくなく、M&Aによる事業継承の道を選択するケースが急増しています。

M&Aとは?

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、2つ以上の企業の「合併」と一方の企業による「買収」を意味します。経営難に追い込まれた企業が、ほかの企業に吸収されるといったイメージが強いかもしれませんが、必ずしもそうではありません。M&Aは、譲渡側と譲受側が事業の譲渡や資本提携などを通し、お互いの人材や技術、情報を補うものとして考えることができます。海外では頻繁に行われているM&Aですが、日本国内でもM&Aの手法を積極的に取り入れようとする企業が増えています。

介護ビジネスにおいても例外ではありません。施設系 介護サービス では、比較的小規模な事業所が経営難に陥るリスクが非常に高まっており、それに伴い売却のニーズも高まっているのが現状です。在宅系介護サービスでは、大手企業と介護事業所が連携し、お互いの強みを活かした連携による顧客の拡大、経営基盤の整備を目的にM&Aに乗り出すといった展開が広がりつつあります。

M&Aによる事業継承のメリット

譲渡側は、事業を売却することによって現金を得ることができます。多額の負債の抱えている場合は、その負担から解放され本業へ集中することができるでしょう。売却後は、譲受側の子会社として資金調達がしやすくなったり、顧客や従業員からの信頼が高まったりするきっかけにもなります。また、事業後継者が不在の場合は、M&Aにより後継者不在でも事業を継続することができるため安心です。

譲受側(買収側)にとっては、M&Aを行うことにより事業規模の拡大をはかれることが最大のメリットとして挙げられるでしょう。すでに実績のある事業の継承は、新規事業の立ち上げよりも格段にリスクが低く、短期間に売上げ、利益を伸ばすことも決して不可能ではありません。

M&Aを成功させるには?

できる限り満足のいく価格で事業を買収してもらうには、譲受側との綿密な打ち合わせと信頼関係の構築が重要となります。その際、譲渡側はこれまでの決算報告書や事業計画書など、譲受側が事業内容や今後の展望を把握するために必要な資料をしっかりと準備しておかなければなりません。お互いにとってのメリットが見出され、契約成立となるまでには大変な時間を要しますので、時間に余裕をもって進めていくようにしましょう。

M&Aによる事業継承を決断したら、どの企業に相談を持ちかけるか検討しなければなりません。その際は、M&A専門のアドバイザーに相談しながら理想的な企業を選択していくことをおすすめします。介護事業所におけるM&Aは、譲渡側、譲受側だけではなく、従業員や顧客にとってもさまざまなメリットが生じるでしょう。経営改善とともに介護サービスの質向上にも繋がる可能性が高く、地域社会へより良い形で還元することが期待できるでしょう。