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高齢者介護に対する需要は右肩上がりに増加する一方で、現場における介護従事者の人材不足が一層深刻化しています。そのため、人員不足に悩む事業所では、いかにして介護従業員を確保し、職場に定着させるかが課題となります。介護従事者の離職を防ぐには、単に賃金などの処遇面を改善するだけではなく、仕事に対するモチベーションを高める環境を整備することが重要と言われています。ここでは、個人目標の重要性について説明します。

介護事業所における個人目標設定の重要性

事業所全体の目標とは別に、介護従事者一人ひとりの「個人目標」を設定することは、仕事に対するモチベーションや緊張感を高める上でとても有効です。個人目標の設定では、それぞれの職務において達成したいことや課題、介護従事者としてあるべき姿を言語化し、それに向けた具体的なプランを立てるといった方法が取られます。それぞれの目標が職場内で共有化されていると、課題に取り組みやすくなるでしょう。また、管理者による定期的な面談を行い、目標達成に向けての問題点を把握し合う時間を設けるとさらに効果的です。

個人目標を管理していくことで、普段見えにくい勤務態度や仕事に対する思いを知る機会が得られます。交代勤務が多く、介護従事者の教育や評価が難しいといった問題も解消されるでしょう。また、介護従業員のスキルアップにも繋がるため、サービスの質の改善や事故防止、利用者の満足度向上も期待できます。

介護プロフェッショナルキャリア段位制度の活用

介護に従事する人材を増やすことを目的に創設された「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」では、介護現場における実践的なスキルを専門職の視点、利用者の視点の両面から、客観的に評価するための指標が示されました。これにより、介護福祉士とヘルパー2級(現・介護職員初任者研修修了者)など、異なる資格を持った介護従事者に対し、同じ指標でスキルを評価することができるようになりました。

評価は、介護福祉士として一定の実務経験がある「アセッサー」が行い、実際の仕事の様子や業務記録の内容から判定されます。段位は、介護の入門レベルからプロレベルまでの7段階に分けられており、高い段位を取得した介護従事者が多い事業所ほど、質の高いサービスを提供していることを公にアピールすることができます。また、介護従事者は、評価を受けることにより、不足するスキルを認識しながら業務に取り組めるようになります。目標が明確になるため、仕事に対するモチベーションアップにも繋がります。

近い将来、介護プロフェッショナルキャリア段位制度による段位取得者の数が、介護従事者に対する「処遇改善加算」の算定要件や、キャリアアップ支援を目的とした助成金の申請条件に含まれると予想されています。そのため、介護従事者が個人目標を設定しようとする際には、介護プロフェッショナルキャリア段位制度の内容にのっとったものになるよう配慮すると良いでしょう。