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介護人材の確保と定着が困難となっている理由のひとつに、介護従事者のキャリアアップの仕組みが構築されておらず、仕事に対するやりがいや将来性を見出しにくいことが考えられます。こうした状況を受け、介護プロフェッショナルキャリア段位制度では、介護従事者が、目標を持って仕事に取り組めるよう、自分のキャリアレベルや要改善ポイントを把握するための評価指標が示されました。

各レベルの位置付け

介護プロフェッショナルキャリア段位制度による評価を受けようとする介護従事者(被評価者)は、評価認定実施機関(シルバーサービス振興会)に申請することにより、実際の仕事の様子や介護記録の内容に基づいたキャリアレベル(段位)の認定を受けることができます。キャリアレベルは、最も初歩的な段階(エントリーレベル)からトップ・プロフェッショナルレベルまでの7段階に分けられています。

エントリーレベルは、介護職員初任者研修の修了者レベルに相当します。基本的な介護知識、技術を収得していますが、常に介護福祉士などの上位資格者の指示を必要とする段階です。レベル2は、上位資格者の指示のもと、一定の範囲であれば、利用者のニーズや現場の状況を判断しながら仕事を行えるレベルです。指示がなくてもひとりで仕事ができ、利用者の状態に応じてほかの職種との連絡、連携をとりながら的確な介護ができるレベルに到達すれば、レベル3を取得できます。

レベル4~7は、プロレベルに分類されます。レベル4では、一人前の仕事ができることに加え、チーム内で具体的な指示、指導を行うリーダーシップが求められます。レベル5~7では、より多様な生活障害を持つ利用者へも質の高い介護を提供できるスキルを有し、高度な知識、技術だけではなく、独自性のある介護を行うことが期待されます。

評価項目は?

評価は、「知識の評価(わかる)」と「実践的スキルの評価(できる)」の両面から行われます。このうち、「知識の評価(わかる)」については、介護福祉士養成過程もしくは介護職員初任者研修の修了がチェックされます。

「実践的スキルの評価(できる)」の評価指標は、148個のチェック項目から構成されています。チェック項目は、以下の3項目に大別されており、それぞれに2~5項目の中項目が表示されています。

1. 食事や入浴、排泄などの「基本的介護技術の評価」
2. 相談、苦情への対応や利用者とのコミュニケーション状況を見る「利用者視点での評価」
3. 社会資源の活用、関係機関との連絡、連携、リーダーシップに関わる態度や能力を見る「地域包括ケアシステム&リーダーシップ」

さらに、中項目はいくつかの小項目で構成されています。上位レベルになるほど評価項目が多くなり、評価対象となる範囲もより広くなります。

評価は、アセッサーと呼ばれる専門の評価者が行います。被評価者が実際に仕事をしている場面に立ち会うほか、介護記録の内容や被評価者との面談を通じて、各小項目に示される内容に対し「できる、できない」のチェックを行っていきます。アセッサーには、事業所や施設によって評価が偏らないよう、資格要件や指定講習の受講が義務付けられています。なお、アセッサーは、被評価者の評価を行うとともに、介護職員などに対する指導者としての役割も担っています。

介護プロフェッショナルキャリア制度によるレベル認定評価を受けるには、評価認定実施機関(シルバーサービス振興会)に申請書を提出しなければなりません。その後、アセッサーから制度の概要や評価方法の説明を受けた上で、現段階での自己評価や目指すレベルの設定を行います。最終的な評価でレベル認定基準を満たしていれば、被評価者は該当するレベルを申請することができます。介護プロフェッショナルキャリア段位制度を利用し、よりやりがいを持って働ける環境を作っていきましょう。